こんにちは、まゆこです。
平成25年5月16日に豊富郷土資料館所蔵の球形手回し洗濯機について、ふたがなくて残念なことを書きました。
そうしたら、それを見た山梨日日新聞の記者さんが取材に来て下さり、『洗濯機のふた、ありませんか?』という見出しで、平成25年5月22日(水)の記事で紹介してくれたのです!
おかげさまで、新聞の反響とはすごいもので、掲載当日の開館直後に、ふた付きの手回し洗濯機を持ってきてくれた方がいたのです。
その後も、山梨県内の牧丘・身延・甲府の湯村から、ふた付きで使える状態のものをお持ちの方から連絡が入りました。その他にも、この洗濯機が特許を持つ「膨張圧力式洗浄法」という原理でつくられたアメリカ製のものを持っているという方や「最近ホームセンターで似たようなものを買って持っているので見せてあげる」など、県内外からありがたい連絡を多数いただきました。
ありがとうございます。
そして、皆様からの情報提供のおかげで、新たな事実発見がたくさんありました。
まずは、「どんなふたであったのか?」という謎については・・・・・ジャンっ!
ゴム製のふたでした。ゴムを貫通して取っ手の金具が取り付けられています。
ふたの裏はこんな感じです。

もうお気づきですか? そう、ふたは洗濯漕である球体の中にあって、本来、球体の外には出せない構造になっていたのです!!
→ 劣化していないゴム製のふたは、球体の中と外をその柔軟性により出し入れできる構造になっていました。(「ジェット洗濯器」取扱説明書入手により判明・平成25年6月5日現在)
洗剤と湯をいれた後、球体の中でゴム製のふたの取っ手を持ち、口から取っ手を引っ張りだすようにして、キュッと栓をしたようです。
以前紹介した際には、球形手回し洗濯機のパイオニアであるカモメホーム洗濯器の資料を参考にして、ふたの形状を考えていたので、わが館所蔵のMAKI産業のものが、ゴム製のふたで、しかも球体の中から取り出せない構造になっていたとは、知りませんでした。
「ゴムであるために劣化してボロボロになり、球体の口から出てしまって、取っ手の金具だけ残っている」という方もいらっしゃいました。
また最近、ネットオークションでカモメホーム洗濯器を買ったという方が、資料館にもってきてくださったので、並べてみました。
左が当館所蔵のMAKI産業のジエット洗濯器、右が林製作所のカモメホーム洗濯器です。
カモメホーム洗濯器のふたは、コックを回転して閉めるようになっています。
そして不思議なことに、ご連絡いただいた山梨県内の所有者は、すべて真木(MAKI)産業製「ジエット洗濯器」でした。いまのところ、50年位前の購入でカモメホーム洗濯器の方はいません。
群馬県桐生市でつくられた「ジエット洗濯器」はどのような販売経路で山梨県内に売りさばかれたのか? 新たな疑問に頭を抱えていたところ、すばらしい連絡が入り、なんと、購入時の値段と経緯、使用した記憶を語ってくださいました。
「50年位前、(昭和38年頃・1960年代)に購入し、1200円だったと記憶しています。韮崎の学校に勤務していたら、そこへ売りに来たので、須玉(現山梨県北杜市)に住んでいた男性と2人が購入しました。アパートに住んでいて、シーツを洗ったことを憶えています」とのこと。箱も保管してあり、いまでも使える状態だそうです。
この方の話では、訪問販売形式で売られたようですね。販売者は群馬県からやってきたのでしょうか?いづれにしても、山梨県中を販売者がまわって、そのメタリックな人工衛星がクルクルまわる様と洗浄力を実演し、それを見て感嘆し、購入した人々の様子が目に浮かぶようです。
時は東京オリンピック直前、まさに映画「三丁目の夕日」の世界を想像します。
新聞を見て連絡をくださったみなさま、ほんとうに貴重な情報提供ありがとうございました。
今回、22日開館直後にジエット洗濯機を持ってきてくださり、当資料館にご寄贈くださった飯室義友さんには、深く感謝いたします。
飯室様寄贈の、ふた有り「ジエット洗濯器」はメンテナンス終了後、展示いたします。
ゴムでキュッとふたをした、球形手回し洗濯機のキュートな姿をご覧になってくださいね♪