ミニ企画展「縁側の茶器」(3)
今日は煎茶の道具についてお話しします。
煎茶の風習は中国から伝えられたこともあって初期には中国から渡ってきた道具を使っていましたが、日本での煎茶の発展や飲まれるお茶そのものの変化に応じて変わってきました。煎茶の器の特徴は、抹茶に比べてはるかに小型、かつ繊細なことです。茶碗一つ例にとっても、片手にすっぽり納まってしまうほどのかわいらしさです。また、肌も透けるほどに薄いものが多く、色絵に代表されるように華やかで、中国風の趣味が生かされています。
煎茶に欠かせないのは、急須、茶碗、茶托の三種類です。玉露を入れるには湯さましが必要です。
急須
急須の原型は中国で発明され、茶を飲む習慣のある文化圏、特にアジアでは古くから使用されています。日本では江戸後期に広まり、「きびしょ(急焼・急尾焼)」とも呼ばれました。素材としては陶磁器製のものが最も普通で、日本の急須の主流は万古焼き・常滑焼の朱泥・紫泥が占めています。伊万里焼・九谷焼などの磁器や美濃焼・萩焼などの陶器製のものも多く生産されています。
取っ手によって分類すると、
「横手(よこで)」と言われるものがいわゆる急須で、注ぎ口を正面に見て右横に取っ手がつきます。
「後手(うしろで・あとで)」といわれるものは、注ぎ口を正面に見て、後方に取っ手がつきます。中国茶や、西洋の紅茶のポットなどによく見られる形です。小型のものを煎茶や玉露に用います
「上手(うわで)」本体上部に取っ手がつきます。一体化しているものもありますが、別個につけるものは、いわゆる土瓶です。
「宝瓶(ほうひん)」取っ手のない急須のようなもので、泡瓶とも書きます。玉露を入れるときに使います。玉露はお湯の温度が低いので、直接手に持っても熱くないため取っ手を必要としません。
横手・後手の煎茶用急須と、上手の番茶用土瓶を今回展示してありますが、宝瓶がないのが残念です。
写真の紫泥急須は、三重県四日市で焼かれた万古焼です。明治時代の中頃にそれまで使っていた白い粘土を掘り尽くしてしまい、赤土を用いて焼き締め陶器を作ったのが始まりです。
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