蚕影大神のお姿①
こんにちは、まゆこです。
ここ豊富には、茨城県つくば市の蚕影山神社を本社とする蚕影山信仰を示す石碑が8基あります。
「蚕影山(こかげさん)」とか「蚕影大神(こかげだいじん)」などと文字が石に刻まれているのみですが、蚕が健やかに成長するようにと、かつての人々は折々に「なむ、おかいこがみさん」と手を合わせて祈りました。
しかし、同じ山梨県内でも、南アルプス市上宮地にある風新居公会堂内には、地区の人々が100年近くも大切に祀ってきた蚕影大神木像と絹本着色蚕影大神画像があります。
山梨県内で蚕影大神を具象化したものは大変珍しく、まゆこはこれ以外に観たことはありません。
そこで、先月まで開催していた企画展のためにお借りした際、撮影いたしましたので、今回ここでご紹介させていただきます。
蚕影大神という文字だけでなく、実際のお姿があると、より明確な信仰対象としての力が生まれますね。
まゆこも「これが養蚕の神様かぁ」とその優美なお姿に素直にたいへん感動しました。画像をいっぱい載せたいので、きょうはまず、蚕影大神木像をご覧ください。
蚕影神・蚕影山:茨城県つくば市蚕影神社を本社とする。江戸時代以降蚕種屋が広く伝え、信仰を集めた。
所在地:風新居公会堂内 (南アルプス市上宮地)
建立:大正6年3月吉日完成し、風新居公会堂の床の間に勧請される。
施主人:中巨摩郡榊村 横内甚右衛門(横内酒造)
大正六年三月吉日 豊村十五所 井原定吉作
材質:木造
付記: 高さ7㎝・奥行16㎝・横幅26㎝の台座の上に、身丈70㎝・奥行13㎝・最大幅21㎝の像が乗る。 頭にビーズ細工の垂れ下がる冠をのせ、胸飾りにも同様のビーズ細工が下がる。 右手に桑の木、左手に繭の入った皿を持つ。
背面記名
施主人 中巨摩郡榊村 横内甚右衛門
大正六年三月吉日
豊村十五所 井原定吉作
外面は黒塗り、内面は金色の厨子に入る。厨子は高さ89㎝・奥行28㎝・横幅39㎝
風新居養蚕組合が管理所有し、毎年1月20日総会において、「蚕影尊天 守護」の札を配り供物をささげ、豊作祈願を行っていました。
現在では、一月半ばの小正月行事(どんど焼き)の日に厨子の扉を開けるとのこと。
10年まで養蚕農家があったそうですが、往時は、笠原製糸、協栄製糸(長野)へ繭を出荷していたとのことです。
地域で先頭に立ってこの蚕影大神木像を守ってこられた住吉さんが教えてくださいました。
造られてから100年近く、養蚕をしなくなっても20年近く地区の住民の皆さんに大切に守られ、伝えられてきたこの蚕影大神像は、今後、養蚕の盛んであった地域の歴史を物語る尊い宝としてますます輝きを増していくことでしょう。
ほんとうに素晴らしいことですね。
←展示の様子を観に来てくださった、住吉さん。
いまから35年前の記事にあったのを偶然に見つけたのがご縁でしたが、当館企画展で展示させていただきました。そして、蚕影大神像を改めてゆっくりご覧になろうと、南アルプス市から上宮地地区の方々がわざわざ中央市豊富まで何回も来てくださったことはとてもうれしいことでした。
南アルプス市上宮地地区の皆様には、大切な蚕影大神様を当館に3カ月以上もお貸しいただき、感謝申し上げます。
風新居公会堂にお戻りになった蚕影大神さまの次のお目見えは、来年1月半ばのどんど焼きの日です。立派な厨子の扉が開けられるそうです。
←次回ブログは、平成 28年6月5日当館への蚕影大神木像貸し出し作業中に風新居地区公会堂内で見つかった「絹本着色蚕影大神画像」についてご紹介したいと思います。
まゆこ
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