日の本式両面製蔟織機の使い方を教えてもらった
先日、長野県の駒ケ根シルクミュージアムさんで開催されている企画展「蚕と蚕具の歴史―先人の知恵に学ぶー」にお邪魔して、針金で縛るタイプの改良藁蔟(かいりょうわらまぶし)製造器について、教えてもらいました。(蔟とは、蚕に繭を作らせる場所となる道具です)
実際に動くところを見せてもらえる展示は、ほんとうに素晴らしく、感動しました!
駒ケ根シルクミュージアムは長野県駒ケ根市にありますが、養蚕、製糸の歴史から最新のカイコの研究に至るまで幅広い視点でシルクをとらえたすばらしい博物館です。
まゆこが3年ほど前に伺った際に、ここの館長でいらっしゃる関先生と竹内学芸員とお話しさせていただく機会を得ました。
その後、我が館養蚕部門の展示研究活動において、日頃からご教示いただいたり、様々な相談にのっていただいたりとお世話になっています。
今年はじめて飼育した虎蚕と黒縞の蚕種をわけてくださったのも駒ケ根シルクミュージアムさんなんですよ。
今回は、当館でも展示している改良藁蔟織機の一種を実際に使用してみることに成功したというお話を聞き、さっそく観に行ったわけです。
駒ケ根シルクミュージアムの企画展示室で関館長とこの器械のメンテナンスをおこなった細田さんが実際に藁蔟を織って見せてくれました。
右手のレバーを手前に倒すと、タテに何本もセットされた藁束に針金が巻きついていくのですが、途中、一定の間隔で横に藁を通してやると、梯子段のように編みあがるという仕組みです。
そして、これを蛇腹にたたんでクセをつけておくと改良藁蔟が出来上がるわけです。
←駒ケ根シルクミュージアムにて。関館長と細田さんが実演してみせてくれている(関館長が横藁を通している)ところ。 ここまで動かせるようになるまでに、大変な試行錯誤と労力がかかったそうです。きっとこの成果は、これから全国の同資料を持つ館の職員の役に立つはずです。スゴイ!
この道具は大手蚕具メーカーが昭和初期から戦前位まで全国に販売していたものと思われ、旅行先の民俗系資料館や博物館でよくみかけますし、当館にも展示してあります。
しかし、実際の取り扱い方法がわかりませんでしたし、部品の一部が錆びついていたり、ゴム部品が劣化していたりと、動かしてみることさえできませんでした。
←我が豊富郷土資料館収蔵の「日の本式両面製蔟織機」 残念ながら当館資料には、横に藁を通す部品が欠損していることが判明した。
←当館収蔵の「日の本式両面製蔟織機」のレバー。これを手前に引くと(写真では左に引くと)、何個もの歯車が同時に回転して針金が藁に巻きつけられていく。
口や文章でうまく説明できないのがもどかしいのですが、実際にこれを使って、ガチャンガチャンと藁が織りあがって改良藁蔟が出来上がっていく様を観るのは面白いです。
特別にまゆこも操作をさせてもらって大感動!
道具の動態展示は重要だなぁと改めて感じ入った次第です。レバーひとつでいくつもの歯車が連動する様はとてもメカニックな感じもしますが、「歯車がこう動いて、こんな風に作用するのね」とすべての動きや仕組みがみてとれ、すぐに理解できるところがアナログ的な感もあり、とても面白かったです。大変勉強になりました。
無理を言って動画も撮らせてもらい、使い方はばっちり理解できました。今後の展示解説の生かしていきたいと思います。
関館長、竹内学芸員、細田さん、お世話になり、ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
(竹内学芸員の書いている駒ケ根シルクミュージアムさんのスタッフブログはとっても興味深くて面白いですよ♪是非ごらんあれ!)
まゆこ
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