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2016年3月21日 (月)

ミニ企画展「春・花・かんざし ~髪をかざる~」(2)

今日は展示品の中から櫛を紹介したいと思います。

櫛と聞いて思い浮かべるのは、髪を整え、髪の汚れを取る実用品のイメージでしょう。日本では縄文時代の遺跡から木製や竹製の漆塗りの櫛が出土しています。しかし、出土した櫛はどれも縦長で、歯の数も少ないのです。おそらく髪をとかすだけでなく、まとめた髪にさす飾り櫛のような、実用と装飾を兼ねたものだったと推測されます。これを縦櫛(たてぐし)といいます。古墳時代の人物埴輪からも「まげ」を安定させるために縦長の櫛をさしている様子がわかります。奈良時代になると、今日とほとんど変わらない横型の櫛が使われるようになります。平城宮跡出土の木製の櫛も、正倉院の象牙の櫛も現代のものと少しも変わりません。これを横櫛(よこぐし)といいます。

Dscn8629jpg2 漆の下地に色とりどりの花柄の櫛

 「櫛」という言葉は「串(くし)」と語源が同じで、「奇び(くしび)」「霊び(くしび)」に通じ、霊妙なこと、不思議なことを意味します。神様に捧げる「玉串(たまぐし)」が神の依り代とされるように、日本では古来先のとがった細い棒には霊力が宿ると考えられてきました。これを髪にさすことで霊力をさずかったり、魔除けとしたりする呪術的な意味が込められていたと思われます。

Dscn8623jpg2 美しい貝殻で飾った櫛と笄のセット

 『古事記』や『日本書紀』には、イザナギがイザナミに追われた時、櫛を取って投げるとタケノコになって、これを邪神が食べている間に逃れる話や、ヤマタノオロチを退治に行くスサノオがクシナダ姫を櫛に変えて髪にさしていく話など載っています。これらの物語からも、邪神を払うまじないとして櫛が用いられたことがわかります。

中央市の上窪(かみくぼ)遺跡の平安時代の墓には、「斎串(いぐし)」とともに下駄が足もとに、櫛が胸の上に副葬されていました。これも同じように魔除けの意味があったのではないかと考えられます。

Dscn8621jpg2 シックな船と花が描かれたセット

平安時代からは、垂髪(たれがみ)の時代となるので、櫛はすき櫛ばかりになりますが、江戸時代になり結髪(ゆいがみ)の時代となると、櫛は再び髪を飾るようになり、さまざまな素材で作られるとともに、さまざまなデザインがほどこされるようになります。

現在、整髪にはヘアブラシが使われることが多くなりましたが、柘植(つげ)などの木の櫛で髪をとかすと、髪の艶がよくなるということで、木の櫛が見直されています。

Img_8797jpg2 セルロイド製と思われるセット

 公家や大名などの美術品のような櫛があるわけではありませんが、農村の女性たちが精一杯のおしゃれを楽しんだ様子をぜひ見に来ていただきたいと思います。ブログは(3)へ続きます。お楽しみに。

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