「ひとりね」の話(3)
富子だけんど、久しぶりじゃんね。公園のさくらもぼつぼつ咲いてきたよ。今っからがいい季節だね。
今日は「ざる」「かご」のこんを書くじゃんね。『ひとりね』にゃあ「いかきをイザルというなり」って書いてあるさ。「いかき」っちゅうを調べてみると「笊籬」っていう字を書いて、「関西地方の古い呼び方で、竹で編んだ籠や笊のこと」だって。籠と笊の違いは深いか浅いからしいだけんど、厳密には区別できんね。広辞苑で調べてみたら、「いざる」っていうのもちゃんと載ってて「𥫱」とか「篅」とかっちゅう字をあてて、「竹で編んで作った器、ざる」って書いてあるさ。やっぱり古語だけんどね。
何にでも使える便利なイザル
つまり「いざる」は方言じゃないっちゅうこんだよね。ほんだけんど方言になっちゃったのは、へえ使われん古語をずっと使ってたからだよね。山に囲まれてほかとあんまり行き来をしん所じゃあ古い言葉が残るだよね。山梨はその典型みたいなとこだね。
農業用の籠
「いざる」じゃあまだいいけんど、これが「いじゃる」とか「いじゃーる」ってなるとホントに方言だね。わたしがちっくいとき、うちのお母ちゃんが、近所の人に「そこのいじゃーるを取ってくりょう。」って言われたときにゃあ、「ざる」のこんだなってわかったけんど、「そこの『こんどし』を取ってくりょう。」って言われたときにゃあ、なんのこんを言ってるだかいっさらわからなかったさ。
「こんどし」と言われる小さい笊と味噌こし
「こんどし」は広辞苑には載っちゃあいんけんど、『豊富村誌』にゃあ載ってるよ。「小さいざる。大きいざるは『いじゃーる』」ってね。「こんどうし」っていうのがほんとの発音らしいけんど、字はどう書くずらね。
茶碗籠
『甲斐の落葉』には「笊のごとき、甲府にてはイザルといえど、甲府在にてはコンドシといえり」って書いてあって、『甲斐の落葉』を書いた人は、イザルとコンドシを同じもんだと思ってるね。
ご飯を入れた飯籠
畚(もっこ)と呼ばれる籠
そういうこんで、今日は山梨にゃあ古語が今でも生きてるよっちゅうこんの1例を書いてみたさ。
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