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2015年10月29日 (木)

ミニ企画展 鉄瓶 ~実用の美~ (2)

鉄瓶、その実用の美しさ

鉄瓶には表と裏があります。注ぎ口を右向きにして見た側が表です。茶席で湯を注ぐ際、向かい合った客人が見る面になるからです。茶道具に起源を持つ鉄瓶には、そのような折り目正しさがあるのです。

Dscn7828jpg3 鉄瓶の表

鉄瓶は鋳物ですから、最初に川の砂に粘土を混ぜたもので鋳型を作ります。鋳型に流し込むのは摂氏千四百度の溶けた鉄です。一分もしないうちに鋳型に刻まれた通りの肌を持つ鉄瓶が出来上がります。花や木、動物や鳥などの文様が鋳出されたり、霰と呼ばれる小さな点が規則正しく並んだり、無紋だったりとさまざまです。鋳型に霰の文様を付けるのには名人でも三日もかかるのだそうです。

Img_0003jpg2 霰文様の鉄瓶

形に注目してみるとどうでしょう。胴の部分だけでなく、つまみや鉉の形などが鉄瓶の美しさを決める要素です。

胴の形は、丸型や富士山型、棗型、南部型などさまざまです。上から見ると八角形をしたものや四角形のものなどもあり、鋳物師がデザインにこだわったことが感じられます。裾広がりの大きな鉄瓶の形は、主に囲炉裏で使われました。鉄瓶の表面が煤で汚れないようにと考え出されたのです。

また、つまみも本体の文様に合わせてデザインされ、動物や木の実、瓢箪などイメージしていて、つまみやすさも考えられており、機能と遊び心が詰まっています。

Dscn7840jpg3 八角柱の鉄瓶

鉉にも秘密があります。ていねいに作られた鉉の内側に、よく見るとわかる合わせ目があります。つまり中は空洞なのです。鉉は鉄をたたいて少しずつ丸めて作ります。鉉を作るのはそれ専門の「鉉鍛冶」と呼ばれる人で、鉄瓶作りの盛んな盛岡にも現在はたった一人しかいないそうです。中が中空なおかげで、軽くて熱くなりにくいのです。これも実用を重視した美しさです。

鋳型から取り出した鉄瓶は、もう一度九百度くらいに赤熱します。これは内部に酸化皮膜をつけるためで、これが不十分だと金気の出る鉄瓶になってしまいます。その後漆を焼き付けて着色をし、その上をお歯黒(鉄さびとお茶の混合液)で掃きます。これは色を整えて独特の風合いを出す効果もありますが、それだけではなく、漆と化合して赤錆を防ぐ効果も高めます。この最後の仕上げで鉄瓶の風合いが決まるうえ、沸かしたお湯の味も決まるのです。

Img007jpg3_2鉄瓶のすごいところ(大きくして見てね)

毎日使い込めば使い込むほど、肌の色合いも良くなり、使い込まれた色になっていく鉄瓶。鉄瓶の名品は使い続けた本人だけが作れるものなのだそうです。

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