日本蚕糸業を支えた桑「一ノ瀬」の良さを実感!
←蔟(まぶし)から繭をもぎとるリアル富子さん
H27春蚕(はるご)の春嶺鐘月(しゅんれいしょうげつ)の収繭(しゅうけん)は6月30日にしましたが、例年より良い繭がたくさんできているように思います!
与えた桑の質が良かったからでしょう。やっぱり繭にちがいが出ますねぇ。
今年の春蚕期は、4月に急逝された養蚕家・中込さんの手入れしていた桑をいただくことができました。
←ちょうど取材に来ていた地域情報誌「かわせみ」のS記者も繭掻きを手伝ってくれました。
←H27春蚕(春嶺鐘月)の成果
日本で栽培されていた桑には、1000種以上の品種があるそうですが、
中込さんの桑園には「一ノ瀬」という桑
が植えられています。
「一ノ瀬」は山梨県発祥の桑品種で、大正5年の桑園品評会に、現市川三郷町の一瀬益吉が「一瀬クワ」と種名をつけ、出品しました。
一瀬益吉さんは、中巨摩郡忍村(現中央市田富地区)の桑苗業者から明治31年ごろに購入した鼠返(ねずみがえし)種の苗木1000本の中に、突然変異種と思われる2株を明治34年に発見します。 そして、これを増殖させたものが、現在、全国的に「一ノ瀬」と呼ばれている品種なのだそうです。
葉肉が厚い上に収穫量がきわめて多い「一ノ瀬」は、その後、奨励品種となり、全国に普及しました。文献にも『昭和29年に栽培面積が桑中一位になってから、ずっと不動の一位である。日本全国の地域で適応性が高く、その優秀性が抜群であったため(蚕糸技術第158号「桑品種とその変遷」市橋隆壽 1999年)』と書かれています。
「豊富地区で養われたカイコには、すべて『一ノ瀬』を食わせていた。葉っぱが厚くて柔らかい一ノ瀬は、美味しいらしくて、かいこがよく食っていい繭をつくるだ。」と中込さんから聞いたことがあります。
高品質な繭の生産には優れた桑品種とその栽培技術も必要なことが、今回の飼育でよく解りました。
←現市川三郷町にいまも残されている「一瀬桑親株」 まゆこ
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