かいこ用の人工飼料
昔から蚕は桑の葉だけを食べるいきものとして飼育されてきました。
しかしいま、蚕は人工飼料でも飼うことができます。
大豆の粉に桑の葉粉末、ビタミンBなどを混ぜ、寒天で固めて作られます。
←ソーセージみたいな蚕の人工飼料は、必要量をスライスして使います。
現在の日本の養蚕では、卵からふ化して3齢くらいまでになるまでは人工飼料で育て、4・5齢の食べ盛りの蚕には本物の桑の葉を食べさせることが広く行なわれています。
というのも、人工飼料だけではコストがかかりすぎるからだそうです。
もちろん繭をつくるまで人工飼料だけを与えていても、栄養たっぷりで蚕はよく育ちます。
←葉の端を足でつかんで頭を上下してモリモリ食べるのと違って、人工飼料を食べるカイコは一カ所をほじくるように食べています。 ところが、蚕にとって人工飼料は美味しい食べ物ではないようです。 それが証拠に、本物の桑の葉をあげたら最後、蚕はもう人工飼料を食べません。 おもしろいというかなんというか…、蚕の身になって考えるとなんだか悲しいような気もしますね。生まれてからずっと本来の食べ物を知らないで、おいしくないものを食べさせられているなんて・・・。
← 人工飼料にまみれた状態で稚蚕業者から送られてくる2齢眠のかいこ。
量的に桑の葉の確保がむずかしい場合は、最初は人工飼料で育てていく方がよいかもしれません。
しかし別のケースとして「蚕とともに購入した人工飼料で育てていたが、5齢のさいごに本物の桑の葉をあげようということになり、子どもたちが採ってきたものをやったら、農薬がかかっていたらしく死んでしまいました。繭を作る直前だったのに・・・」とかなしいお話も耳にします。
こちらも、見た目では農薬がかかっているか否かの区別はつきませんから、桑葉を採ってきた子どもたちに罪はありませんし、とてもつらいことですよね。
そんなこともあると、逆に人工飼料だけを与えて安心に育てた方がよいかもと思ったりします。う~んむずかしい!蚕も人間もなんと生きにくい世の中か!
ちなみに、ネット通販でも買うことのできる人工飼料は1本500gで800円~900円し、約15~20頭の蚕がふ化から繭を作るまで育てられます。
でも、まゆこはやっぱり本物の桑をモリモリ食べている蚕の姿を見る方が好きかなぁ~♪
まゆこ
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