お食い初め
富子だけんど、いよいよ暑くなってきとうじゃんね。昨日はいいお湿りで生きけえったよう。地面がからからで、植えとうもんも砂漠ん中においてる(生えている)ようだったからね。
資料館のおぼこさんもどんどんでっかくなってるけんど、うちのおぼこもでっかくなって、せんころ(先頃)お食い初めをしとうさね。
お食い初めっちゅうは平安時代っからある子どもの儀式で、ぼこん(子どもが)一生食うに困らんようにって願う儀式さね。生まれてっからだいたい100日くれえでやるようだよ。
御膳が2組作ってあるのは、お食い初めをするぼこん2人だからだからね。にいしい(新しい)御膳を用意するのが本当らしいけんど、ちょうどうちの娘たちの御膳があったから、使わんともったないと思って使ったさ。30年めえ(前)のもんだよ。きれえなもんじゃんね。塗りの食器をつこう(使う)が本当らしいけんど、こりゃあ九谷焼さね。まあ今はプラスチックの離乳食のセットでやることが多いいらしいから、あんまり気にしなくてもいいかもしれんね。
料理は一汁三菜で、鯛の尾頭付き、赤飯、焚き物、香の物、紅白の餅、吸い物、歯がため石なんかをを御膳に用意するだって。まあ気持ちがこもっていろば、料理のメニューにもそんなにこだわることはないらしいけんどね。一生食い物に困らんようにっていうこんだから、できるだけのことをしてやればいいさね。
生まれて100日じゃあまだおっぱいしか飲めんだから、お食い初めって言っとうって食うまねしかできんけんどね。
それでもうれしそうに食ったまねをしてるじゃんね。写真にゃあ写っていんけんど、歯がため石は、歯が石のように丈夫になるようにって、これも食べるまねをしたさ。歯がため石は場所によって、でかい石を使うとこもあるし、ちっくい石を使うとこもあるし、数も2個とか3個とかいろいろだね。お宮の境内の石を借りてきて、終わったら返すっていうやりかたもあるし、近所の河原へ行って拾ってくるっていうやりかたもあるさ。うちじゃあ釜無川へ拾いに行ってきて、たいへん拾ってきたよ。使っとうは4個だけだけんどね。
ほんだからお宮へ返さんでいいから、袋を作って中へ入れてお守りにしたさ。このしゅ(衆)がでっかくなったときに、親やじいちゃん・ばあちゃんたちが、ひとつひとつ無事に成長するようにって、いろいろやってくれとうこんを思い出してくれろば、いいっちゅうこんだよね。昔は子どものうち死んじもうことも多かったから、こうやってひとつひとつ儀式を積み重ねていけるっちゅうは、親にとっても有難いこんだっただよね。
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