水口祭り
富子だけんど、ここんとこよく会うじゃんね。お互い元気でよかったよう。たっしゃが一番だからね。
田んぼの片隅で苗代の稲がいいあんばいに育ってきて、田んぼにも水んへえって(入って)きてるとこん多くなってきたねえ。早いうちじゃあ、へえお田植えをしてるとこもあるじゃんね。
中央市じゃあどこでもほうだったけんど、昔は苗代へ種もみを蒔くときに、「水口祭り」っちゅうこんをしとうさ。菖蒲や芍薬なんかの季節の花を水の取り入れ口に飾って、神饌をお供えして、豊作を神さんに祈るっちゅうわけさね。
そんときに小正月に作った「粥掻き棒」も一緒に飾って、田植えん終わるまで置いとくさ。
「粥掻き棒」っちゅうは上の写真の三方に載ってるので、カツノキで作って、小正月の「小豆粥」をかきまあして(かきまわして)、そけえ(そこへ)籾殻をくっつけて神棚に供えておくもんだけんどね。それんこの苗代作りんときにいよいよ出番になるっちゅうわけ。
種まきん終わるっちゅうと「やこめ」を作って神さんにあげるだよね。あっちこっち田んぼを見て回ったけんど、「水口祭り」をやっていそうな田んぼがなかったから、しかたんねえから「やこめ」だけでもと思って作ってみとう。
大豆を炒ってっから1時間くれえ水につけといて、ひやかしたうるち米ともち米の中に入れて炊くさ。蒸してもいいし、全部もち米でもいいし、大豆は黒大豆でもいいさね。
神さんに食ってもらってから、自分とうもよばれとうさ。大豆をフライパンで15分ばっか炒っとうけんど、そんときにゃあ、いい匂いがして、ほんとにうまそうだったし、できあがった「やこめ」もうんとうまかったよ。大豆もやっこく(柔らかく)なってて。豊富じゃあ、大勢の人に食ってもろうほど縁起がいいって言って、通りがかりの人にも食ってもらっただってよ。いいじゃんね。
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