安産守り、もらいに来おし。
富子だけんど、なんでこう雨ばっか降るずらかね。洗濯もんはかわかんし、せっかくしまっとう冬もんをまたひっつりだして着たりしなきゃあならんでかなわんねぇ。
資料館の「安産祭り」が近づいてきてえるねぇ。だんだんと支度ができてるから、祭りの日に、多勢の人に安産祈願に来てもらえばうれしいじゃんね。
妊婦さんは資料館の入場料は無料になるし、かええしい(かわいい)安産守りをやるからね。このお守りは「山の神」の福をもろう(もらう)ように、4月17日の春のお祭りで祈願をして来るさ。山の神さんは、いろいろなもんをいっぺえ(数多く)生み出す「豊穣の神さん」だからね。山のしゅうは獲物やら山のもんがいっぺえ採れるように願うし、里のしゅうは穀物やら野菜やらがいっぺえ採れるように願ってきたっちゅうわけ。養蚕をしてえる家じゃあいい繭んいっぺえとれるように願ったっちゅうこんさ。そういう神さんだから御利益はいっぺえあるだよ。
このお守りにゃあ、材料っからいろいろ願いを込めて作ってあるさ。
見てみちゃあ。竹の中に赤んぼうが入ってるじゃんね。竹は神さんの依代(よりしろ)っていわれるし、ものすごい勢いででかくなるし、どんどんふえるし、悪いもんを払ってくれる力もあるだよね。お正月の門松は、歳神さんを迎える依代だし、七夕の竹もほうだよ(そうです)。祭りの場所で神さんを迎える清めた場所を区切って、笹の付いた竹で周りを囲うこんも良く見るじゃんね。ほの(その)竹にしめ縄を渡してさ。かぐや姫がどんどんでっかくなるのも、竹から生まれたからだしね。
ほれから「麻の葉模様」のおくるみだけんど、「麻」は昔っから、神さんの事に使われたり、魔除け・厄除けの意味があったりするっちゅうわけ。ほれに丈夫でどんどんまっすぐ伸びるから、赤んぼうの産着に「麻の葉模様」を使っとうだよね。昔は、災いを防ぐからっちゅって「麻の葉模様」を、お母ちゃんが一針一針縫って着せとうだってよ。
おくるみの中にへえって(入って)るは、繭からとれた真綿だよ。真っ白くひかって、軽いけんど丈夫で、やわらかくてぬくとい真綿は、昔っから神聖な行事に使われてたさ。赤んぼうが生まれるっちゅうと紅白の真綿をお祝いに持ってったり、真綿の帽子をかぶせたりしとうっちゅうよ。豊富の辺でもつい最近まで出産祝いの金を真綿に包んで贈ったっだってよ。
次は鈴のこんだけんどさ、鈴のシャラシャラいう音は、神さんを喜ばせる音でね、周りの汚れをはらって、清浄なもんにするっちゅう力があるだって。ほの(その)力は、悪霊だってやっつけちもうっていうからすごいじゃんね。子どもの着るもんに鈴を付けるっちゅうこんは、子どもを守ることになるだって。
最後に赤んぼうだけんど、繭でできてるさ。繭っちゅうは、長い糸がとれるからね。ほの繭のように長生きしろし(長生きしてください)っちゅう願いが込められているわけさ。かええしい(かわいい)し、赤んぼうを守るものばっかで作ってあるお守りが、好いぼこ(子)を授けてくれると思うじゃんね。
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