日本刀の手入れ
今日は朝から冷たい雨が降っていて、お客さんの出足も鈍いだろうということで、館長は日本刀のお手入れを始めました。
日本刀のお手入れはよくテレビの時代劇などで、ポンポンと打ち粉をうっているのを見ますが、展示している日本刀も年に何回かはお手入れをしないと錆びてしまうのです。
日本刀のお手入れは、古い油を拭い取って、新しい油に塗り替え、刀身が錆びないようにするものです。お手入れ用の七つ道具は、目釘抜(めくぎぬき)、打粉(うちこ)、拭い紙(ぬぐいがみ)、油、油塗紙(あぶらぬりがみ)などです。
目釘抜は真鍮製で縁起を担いで「打ち出の小槌」の形をしているものが愛用されているそうです。
頭の部分はねじになっていて取り外すことができ、取りにくい目釘をコンコンとたたいて外すことができるようになっています。今回は目釘は抜かないままお手入れをしたのですが、やさしい館長はちゃんと抜き方を実演して見せてくれました。
古い油をよく拭ってから、下の写真のように打粉をうちます。丸いタンポンの中には砥石の白い微粉末が入っていて、これで油をとりのぞくことと、錆びを取り除くことの両方をするのだそうです。この後また拭い紙でよく打粉をぬぐってから油を塗ります。
油は「丁子油」といいますが、現在は酸化の遅い鉱物性の油を使うようです。昔はツバキ油に丁子油を加えて香り付けをしていたのではないかといわれています。
上の写真の刀は脇差で、銘は「備州長船勝光」とあります。銘が本当であるかどうかはわかりませんが、室町時代の脇差であることは確かなようです。もう1本の江戸時代の脇差より軽くて、扱いやすそうでした。実際に使うことはほとんどなかった江戸時代の刀より、実戦向きにできているようです。私に持たせたら振り回すに違いないと思ったのでしょう。「振り回さないように」と、ひとことあってから持たせてくれました。
その後、新しく展示した飯室家の刀もお手入れをしました。ここには大小5本の刀が収められているので、お手入れの時間もかかります。今日は全部で8本の刀のお手入れをしたことになります。
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