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2014年11月21日 (金)

綛造り(かせづくり)の今昔

こんにちは、まゆこです。

前回の記事では、岡谷の宮坂製糸所で当館所蔵の括造器で「括」をつくる作業をレポートしましたが、今回はその前段階の作業である「綛造り」についてお伝えします。

ところで、当館資料「括造器」は昭和50年頃より前に使われていた古いもので、現在の製糸所では使われていないものだということはわかっていました。

そもそも、昭和50年前後を境に、生糸を捻り造りする「綛」の仕立て方が変わったので、「括」の形も変わりました。

これに伴って括造器自体も昔のものと縦横高さが違います。

そのため、宮坂製糸の小林さんには、むかしの方法での「綛造り(かせづくり)」から見せていただきました。

Dsc_1282綛(かせ)造りされる前の生糸。 繰糸(繭から糸を取り出すこと)の後、「綛揚げ(かせあげ)」という作業を経て、このような形態で生糸は綛造りをする職人のもとへ運ばれてきます。これからこの糸束をねじって「綛」にしていきます。

綛造り(昭和50年代より以前のものを再現):

Dsc_1315輪になっている生糸の片側を柱に取り付けたフックに引っかけて捻じっていきます。

Dsc_1316さらに捻じりながら半分の長さに折ります。

Dsc_1317端を最初にフックに引っかけた輪の中に通すと美しい捻じり作りの綛が出来上がります。

最後に細い木綿糸で形が崩れないように上部を一カ所縛っていました。

この二つ折りにして結束する綛は「ちまき造り」「鐘桜(しょうおう)造り」などと呼ぶそうです。

次は、現在の綛造りの様子をみてください。

現在の綛造り:

Dsc_1285現在の綛づくりに使用する回転式のフック。上下の円形の台の側面にはたくさんのクシが挿せるようになっています。

Dsc_1296 ステンレス製のクシに糸束の輪をかけ、上部の円形台側面の穴にセットします。

次に下部の円形台側面の穴に別のクシをはめておき、上下のクシに両端がちょうど掛かるように生糸の束をねじっていきます。

生糸を引っぱりながらねじる際に使う短い棒は管状になっていて、ちょうどよい捻じり具合のところでキープしたまま下部のクシに通し、生糸をスライドしてセットできます。

現在の綛は、捻じった生糸を半分に折らないので、昔の綛の約2倍の長さになっています。

いままでご覧のように、昔と今の「綛」の仕立て方はねじることはおなじですが、その長さに違いがありました。

現在の綛は「長手造り(ながてづくり)」とよばれるそうです。

Dsc_1323 いつごろから「綛」の形が変わったのか宮坂製糸の方に質問してみましたら、「岡谷では、いまから40年位前まで、昔のやり方でやっていた」そうです。

いまから40年前といえば昭和49年のことですから、昭和50年頃を境に「長手造り」に移行したのでしょうか?

いまでも世界中で使われている繰糸の最高技術機・ニッサンHR型自動繰糸機は、昭和51年に完成・導入されはじめますから、綛造りの変化に何か関係があるのかもしれません。

調べてみると、1つの綛は長い間70gが標準であったようですが、自動繰糸機の普及と繰糸の高速化により、現在では、1綛の重さは平均208gになっているそうです。

また最近では、綛造りにせず、直接ボビン等に巻き取って包装、出荷される場合もあるのだそうです。

すばやく滑らかに生糸をねじり、まさにマジックのように綛造りする宮坂製糸の小林さんの姿を惚れ惚れしながら見せていただいたまゆこは、このような情勢を知ると、なんだかさみしい気持ちになります。

ただ、ねじっているだけに見えますが、実は素人にはわからない微妙な糸の太さや光沢などのばらつきを内側にねじりこみ、最高に美しく見えるように綛造りするのが職人の腕だそうです。特に両端に見えるねじりの美しさにはこだわるのだそう。

生糸は、ねじられると光沢が増してより美しさが際立つように感じます。日本人の手仕事のすばらしさを実感したまゆこですが・・・。

綛造りの技術もこのままでは、将来なくなってしまうのかもしれませんね。

Dsc_1278左)昔の括と(右)現在の括 

さて、綛が違えば、括の形も違ってきます。

ということは、括造りの仕方も括造器も昔のものと変わっています。次回は現在の「長手造り」で括を造る様子をレポートしますね

Photoまゆこ

 

 

 

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