宮坂製糸所で括造りを教えてもらう
こんにちは、まゆこです。
当館資料の括造器について、使用方法等を調査する為、長野県に出向いたことは、先の記事でお話ししました。
今回は、まゆこ達が山梨から持参した括造器を使って、岡谷蚕糸博物館内にある宮坂製糸所のKさんが実際に括造りをして見せてくれた様子をレポートします。
現在の製糸所でも、出来上がった生糸は「綛(かせ)」の形に成形し、さらに綛を何本か揃えて束ねた「括(かつ)」にして出荷されます。
わざわざ「括」にして出荷するのは、糸の損傷を防ぎ、運搬しやすくするためだそうです。
括造作業の前に、宮坂製糸さんがお持ちであった昔の括造器をみせていただくと、残念ながら当館の括造器には、使用の際にセットで必要な道具がいくつか失われていることがわかりました。
内板と糸を通す「カギ」とよばれる道具、真鍮製の「クシ」の3点がありませんでした。
カギ(結束用のひもを通す道具)
真鍮製のクシ(綛の端のねじりの輪に「クシ」を通して括造器にセットすると綛の両端が揃う)
そこで、無い道具は宮坂製糸さんにお借りして行うことにしましたが、肝心の生糸はたいへん高価なので、無理を言ってまゆこのつくった紙束で代用してもらうことになりました。
生糸の代用品を使っての括造開始。
ハンドルを横に倒して上板を外し、綛をセットしていきます。
本来はこの旧式の括造器には、4綛をクシに刺して1段目とし、これを5段重ね、括造器に計20綛を直方体になるように積みます。
次に内板を生糸の上に置き、上板を重ね、倒していたハンドルを戻してフックを掛け、ハンドルを回して綛の束を締めます。
締めることで、形の整えられた「綛の束」は「括」になります。
さらに、括の形を維持するために、ひもで縛る作業をします。
「かぎ」の穴にひも(甘撚りの木綿糸)をかけて、括造器の三か所の横溝にひもを切らずに通していきます。
かぎは尖った方を先端にして、内板面に接するように滑らせて、通していくようです。
ひもを通し終えたら、溝の両脇に出ているひもの輪になった部分を切り離し、括造器を裏返して底の部分で3か所縛ります。
括造器に結束するひもをどのように通すのかが、Kさんのおかげでよくわかりました。
「かぎ」とよばれる道具が必要だったのですね。
当館の展示においても、さっそくこの「カギ」は複製して、括造器の横に置きましたよ♪
次回の「まゆこのつぶやき」も宮坂製糸所で学んだことをレポートします。
「括造り」の前段階として重要な、「綛造り」についての予定です。
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