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2014年11月30日 (日)

中込さんの繭が生糸になる松澤製糸所2(繰糸編)

Photoこんにちは、まゆこです。

今回も、下諏訪の松澤製糸所のレポです。

前回の記事では、入荷された繭が松澤製糸所で乾燥→繭倉庫に貯蔵→選繭される様子をお伝えしました。その後の工程には、「煮繭(しゃけん)→繰糸(そうし)→揚返(あげかえし)→束装(そくそう)」とよばれる作業があります。

Dsc_1352煮繭機(しゃけんき)で繭を煮ているところ。

    選繭の終った繭は蓋付きの網カゴに入れられ、ベルトコンベアーに乗って次々と湯の中に沈んでいきます。繭を熱湯にくぐらせると、セリシンという糸同士を接着させている成分が柔らかくなりほぐれて、繭から糸を引き出すことができるようになります。立ち昇る湯気とまゆこの失敗撮影のため、残念ながら不明瞭で申し訳ありません)Dsc_1344煮繭が終わると繭は繰糸機械に運ばれていきます。松澤製糸所の繰糸機はニッサンHR型です(昭和40年代に日本でつくられた全自動繰糸機の最高峰で、現在世界中で使用されている)。

Dsc_1368
 繰糸機械作業では、まず自動索緒エリアにて座繰りでするのと同じように稲わらの穂先を束ねてつくられた索緒箒(さくちょほうき)で繭の表面をなでて糸をひきだしていきます(=索緒さくちょ)。

 

 

Dsc_1217 索緒箒のついた円盤がくるくる回りながら動いて、繭の表面層の糸を絡め取っていくのです。

←宮坂製糸所で撮影したニッサンHR型の索緒箒

 さらに、引き出した表面層の糸から繭1粒に1本しかない正しい糸口を取り出します(=抄緒しょうちょ)。

 座繰りで人間がするのと同じ作業を自動にすると、こんなに複雑な機械装置になるんだ!とびっくりしますが、なぜか索緒する箒だけは昔と同じ稲わらでできた自然素材だというところに感心してしまったまゆこです。

他の人造素材に代えがたい特質があるんでしょうね♪

「この索緒箒はどこでつくっているのですか?」ときいてみると、「伊那でつくってくれる人がいるんです」とのこと。同じ質問を宮坂製糸所でもしましたが、やはり「伊那でつくっている」とおっしゃっていました。索緒箒をつくる技術を持つ人間がいてこそ、このすばらしく複雑な機械は動くことができるのだと思うと、なんだか不思議な気がします。

Dsc_1222

 

宮坂製糸所に置いてあった取り換え用の索緒箒。

 

Dsc_1357 ←巻き取られる「キビソ」 繭一つ一つから正しい1本の糸口を見つけ出すまでにはがした糸は「キビソ」といって極太の糸製品等になるので、このように巻き取って捨てずに活用するそうです。

Dsc_1337
 次に繭は給繭器に適量ずつ入れられて移動し、繰糸されていきます。

 流水プールのように繰糸機の周りには湯が張られており、そこにすき間なく浮かんでいるクリーム色の箱が給繭器です。

 繰糸エリアでは、数個の繭からの糸を合わせて撚りをかけながら一定の太さの生糸をつくって巻き取っていくのですが、その糸の太さを均一にするというのがこの作業工程での肝になります。

Dsc_1339 昔は女工さんたちが繰糸鍋の中で、待機する繭を手前に置いておいて、糸が細くなると待機繭の一つをとって糸を付けたす作業を行っていました。

 現在のこの機械では、給繭器が糸の太さを感知する機械と連動しているので、糸が細くなると自動的に給繭器の中の繭がひとつポンッととび出して、繰糸している部分めがけて投げられ、糸が追加されます。

 この糸の太さを感知する「繊度感知器(せんどかんちき)」と連動して動く「自動接緒装置(じどうせっちょそうち)」の仕組みは昭和30年代に次々と日本で開発・改良され、明治より続いた世界に誇る高品質の生糸をつくる日本の女工さんたちの仕事は、大幅に変化しました。

Dsc_1340

 

現在の作業は、機械の作動状況の点検と生糸が切れた時の処置を行うのが主だそうです。

  一定の太さで節のない美しい生糸を生み出す繰糸機は、とにかく繊細で複雑な仕事をするスゴイ機械でした。

 とくに昭和30年代に岡谷で発明された「繊度感知器」は、小枠に巻き取る前に、糸が円形のガラス板のすき間を通りぬける際、生糸の太さの変化を感知するもので、それまで女工さんが繭の粒数で太さを確認していた時代から大きく品質を向上させたといいます。(繊度感知器については、まゆこ力量不足でうまくお伝えできないのが残念ですが、岡谷蚕糸博物館さんの展示を見るとよくわかって感動します!)

 しかし、松澤製糸所社長によると、このスゴイ繰糸機も解舒率(かいじょりつ)の良い高品質の繭があってこそ最大限に機能できるとのことでした。

 繭層が薄かったりすぐに糸が切れてしまうような繭では、繰糸が高速化しても、糸の不具合を検知した機械が頻繁に停止してそれに対処する人件費がふえてしまいます。

 宮坂製糸所社長が繰糸機の歴史を解説してくださった折にも、昭和30年代以降の繰糸機の進化は日本の最高品質繭の生産供給力とともにあったと話しておられました。

 昭和30年代といえば、わが山梨発明の「回転蔟(かいてんまぶし)」が全国の養蚕農家に急速に普及して、繭の品質を格段に高めた時期と重なります。山梨の先人の果たした役割も大きかったのだなぁと考えると、とてもうれしくなったまゆこです。

 

さて、繰糸工程で小枠に巻き取られた糸はこのままでは出荷できません。次回は、つづく「揚返」という工程からご紹介しますね♪

 

まゆこ

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