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2014年11月26日 (水)

中込さんの繭が生糸になる松澤製糸所1

Photoこんにちは、まゆこです。

 今日は長野資料調査報告シリーズ第5弾「下諏訪の松澤製糸所で教えてもらったこと」をお伝えします。

 

 今回の調査で、まゆこはどうしてもこの松澤製糸所も見学させていただきたいと思っていました。

 いつも養蚕の様子を取材させていただいている山梨県中央市の中込文義さんの出荷した繭が、その後どのような道筋で絹製品になっていくのかを追いたかったからです。

 文義さんの繭は「JAふえふき」管内の他の3軒の養蚕農家のものと一緒に集められ、JA職員が松澤製糸所に運んでいます。

Img_0074 松澤製糸所は、宮坂製糸のある岡谷市の隣、同じく諏訪湖を臨む下諏訪町にあります。

 最初に、社長の松澤清典さんに山梨県産繭の入荷状況と生糸の出荷状況についておうかがいしますと、

 山梨県から松澤製糸所さんへ年間約5000kgの繭が入荷しているとのこと。

 これは、大日本蚕糸会発行のシルクレポートで確認してみても、山梨県の繭出荷量は平成245843kg、平成25年で4073kgですから、ほぼすべてだといってよいと思います。
 

 また、山梨県産繭は、この製糸所にやってくる前にすでに山梨県富士吉田市にある2社の絹織物会社によってすべて買い取られているそうです。 そして、それぞれの絹織物会社より発注があると、必要な量の生糸を生産し、織物工場に出荷する流れになっているとのことでした。

 現在、県内に製糸工場が無くなってしまった山梨で、江戸時代から続く甲斐の絹織物が存続できているのは、この長野県下諏訪町の松澤製糸所さんの存在あってのことなの

ですね。

  

 では、中込さんの生産した繭がこの製糸所に運ばれてくると、どのように扱われていくのか順にみていきましょう♪

養蚕農家から山梨県内各JAで集めらた生繭は繭袋(油単ゆたん)に詰められた状態で、この松澤製糸所に送られてきます。

生きたままの蛹が入った繭は次々と出荷後23日で発蛾するため、製糸所に入荷すると、ただちに乾燥機で5~6時間乾燥されます。そして次に繭倉庫で貯蔵されます。

 

Dsc_1329 こちらの大型の乾繭機(岡谷市の製糸関連機器メーカー、『ハラダ』製)で熱風乾燥させます。

乾燥が終わると、繭袋に再び詰められ、

Img_0084 3階建ての繭倉庫に貯蔵されます。

Dsc_1401_2
 繭生産者や生産組合ごとに分けて保管される繭倉庫の内部。

 山梨県産の繭は、絹織物会社2社の保有繭が混じらないように、繭袋ごとに生産農家の名前や生産JAの名が記されたラベルがしっかりとつけられていました。

このあたりが山梨産の一角です」と案内してくださった場所には、ちゃんと『JAふえふき』の文字が記されたラベルがありましたよ! 袋の中には生産者の名前の紙も入っているそうです。 

 また、繭袋は長年使い回しされているので、日本中の今はもう操業を停止した製糸所や養蚕家の屋号もみることができます。

Dsc_1394

 倉庫内の繭冷蔵室。

 

 5月からの春蚕にはじまり晩秋蚕の出荷がおわる10月初めにかけて、数回ある飼育期間の一時期に集中して繭は入荷するので、乾繭が間に合わない場合は、倉庫内の冷蔵庫に一時保管して、発蛾を遅らせる措置をするそうです。 

さて、山梨県の絹織物会社から発注がくると、いよいよ繭が倉庫から出され、製糸工程に入りますが、その前に繭の選別を行います。

 

Dsc_1330 選繭台。 

Dsc_1332

 繭の選別は養蚕農家が出荷前にも行っているのですが、繭をつくる途中で死んで、体液で内部が汚れている内部汚染繭は乾繭後によくわかるので、ライトテーブル付の選繭台で人間の目をつかって、ひとつひとつ取り除きます。 

 汚れた繭を煮ると湯が汚れ、生糸も汚れてしまいます。(こちらの選繭台もハラダ製でした。

  この選繭作業の説明をしていただいている時に、まゆこが思わず、「中込さんの繭は・・・」と言いかけたところ、松澤製糸所社長からすぐに「え~、中込さんの最近の繭は・・・」とかえってきました。

 松澤製糸所には、山梨の他にも日本全国の養蚕組合や養蚕家の繭(埼玉・愛媛・高知・兵庫・長野等)が入荷するそうですが、それらのたくさんの繭を扱う目利きの社長は、さすがに生産者とその繭の品質を詳しく把握していらっしゃいました。

 

その他、山梨県では平成25年は15軒の養蚕家で生産しましたが、山梨県産繭約5000kgのうち、2000kgは富士川町にある1軒の養蚕家が生産したものだということも教えてくださいました。 その2000kgを生産している農家さんの繭でつくった生糸は高級絹製布団をつくる山梨県富士吉田の会社に納め、残り14軒の農家で生産した3000kの繭で生産した生糸はストールや傘の生地などをつくるもう一つの絹織物会社に納めているそうです。

山梨県産の繭はすべて製糸をこの松澤製糸所で行い、その後また山梨県内に生糸となって戻され、富士吉田市の織物会社(「カシワギ」「甲斐絹座」)で製品化されることが分かりました。 ちなみに中央市の中込さんの繭は、甲斐絹座の商品になっています。

 

また、社長さんは「毎年、国産の繭が2割ほど減っていく現状があり、国産繭の先行きが心配だ」ともおっしゃっていました。 

中央市でも生産者は85才の中込さん一人ですから、今後中央市産の繭出荷量が増えることは期待できそうにない現状です。 最近では、中央市のシルクの里豊富地区に、養蚕を引き継いでくれる救世主が現れますようにと、日々お祈りしているまゆこです。

 

次回はいよいよ、松澤製糸所での製糸工程をお伝えしますね。

 

まゆこ

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