お盆のしつらい(養蚕村のお盆はひと月と十日遅れ)
こんにちは、まゆこです。
お盆が過ぎましたね。でも当館正面玄関横のウインドウディスプレイはまだ「お盆のしつらい」です。
なんでまだ変えてないのかって? まぁ、まゆこの言い訳をきいてくださいなぁ~。
現在の山梨県中央市豊富地区は平成のはじめまで養蚕の村だったのですが、最盛期は5月~10月まで切れ目なく掃き立て(卵を孵化させる)ては飼育していました。
中でもお盆期間中は、7月の中・下旬ころに掃き立てた初秋蚕期にあたっており、とても盆行事どころではなかったそうです。
そこで、「初秋蚕が上蔟した後の8月23日にやっとひと月と十日遅れのお盆をした」という話を地域の方からよく聞きます。
ここでいう「ひと月遅れ」というのは、かつてこの地域で7月13~15日に盆行事をしていたことからきています。
当館の平成26年度初秋蚕も先週の8月17日に上蔟しましたので、まゆこが夏季休暇をとっていた8月13日~15日の間はちょうど5齢のお蚕たちが桑葉をもっとも食する時期と重なっていました。
館長と富子さんは「桑切り」や「こしりとり」に大忙しであったようです。
さて、当館の「お盆のしつらい」ですが、この地域での伝統的な飾り方がよくわからなかったまゆこは、まず地元スーパーで売られていた「盆飾りセット」を購入してみました。
ところが、その見本として描かれている飾り方図は、地域で昔から行われているものとは全く違う、という指摘を館長と富子さんに受けてしまいました。
「う~ん、じゃぁこのへんでは普通どう飾るんですかぁ? 見せてくださ~い!」と二人に泣きついたところ、このようにしつらえてくれました。 なんとスーパーで購入した盆飾り6点セットのうち、使用したのは3点のみ。
そして、収蔵庫から古い仏壇や仏具を運びだし、一応このようになりました。
茄子の牛・きゅうりの馬の胴体にはおざら(甲州の麺)を手綱としてかけます。
蓮の葉の上には生米をのせ牛馬の餌とします。
しかし、同じ山梨県内でも、宗派や地域によっても飾り方には微妙な違いがあるようで、このディスプレイをきっかけとして、来館者の皆さんから様々な飾り方情報を得ることができました。
「蓮の葉が身近にない地域は柿の葉を使用」とか、「牛馬の餌として米だけでなく茄子を刻んだものも混ぜる」とか、「盆花は特別なものを山に採りに行く」など多数。
今後のディスプレイに生かしていきたいと思います。さて、当館のひと月と十日遅れのお盆のしつらいも、今月で終わりです。
次のディスプレイテーマは「お月見」かなぁ。タイムリミットが迫り、ちょっと焦っているまゆこです。
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