風呂の話(3)
富子だけんど、いよいよやぶっ蚊の季節だねえ。明け方耳元でブーンちゅう音を聞くと、せっかくいい気分でねてえるっちゅうに、やぶせったくてかなわんじゃんね。
風呂の話だけんどさ。自分だけの経験じゃあ特別のこんになっちもうから、行き会う人に自分のええ(家)の風呂や、借りに行ったええ(家)の風呂がどういう風呂だったかを聞いてみとうさ。ほうしたら「五右衛門風呂」だったっちゅう人が多かっとうさね。関東じゃあ「鉄砲風呂」が多くて、「五右衛門風呂」は関西に多いっちゅうように書いてる本が多いけんど、この辺じゃあ「五右衛門風呂」が多かったみてえだね。資料館の風呂も「五右衛門風呂」だしね。
「五右衛門風呂」も全部が鉄でできているのと、途中までか、底だけが鉄でできているのがあるだよね。資料館の風呂は底だけが鉄でできてえて、すのこを底へ平らに沈ませるのに苦労はないだけんど、全部鉄のもんとか途中までが鉄のもんは、本当に釜茹での釜のようになってえて、底はカーブしているさ。ほんだから、すのこを沈めるのにうまく沈めんちゅうと平らにはならんちゅうわけ。特に全部が鉄でできていると、これをうまくやらんと背中が鉄にくっついちまって、とんでもないこんになるわけさ。ほんだから風呂にへえる(入る)のは苦手だっとうってはくじょうしてくれとう人もいとうさ。全体が鉄でできている風呂は、周りを漆喰とかセメントでかためてあって、「長州風呂」っちゅうように呼ばれたりしてえるらしいさ。たしか、アニメの『隣りのトトロ』で五月とメイがへえって(入って)いた気がするだけんどね。
韮崎の80代くれえのおばあやんは、「3軒のええ(家)で順番に風呂を立てたから、自分のええ(家)で立てるのは2~3週間に1度くれえだったけんど、1回にへえる(入る)人数は15人くれえになっとうさ」って話してくれたさ。煮物とか漬物をよばれたりするから、まるでお祭りのようだったっちゅうよ。おばあやんのええ(家)じゃあ風呂は入口をへえった(入った)ところの土間にあって、水は井戸から汲んでくるどうって。ほんだけんど、冬になると井戸ん枯れるから、川まで汲みに行かにゃあならなかっとうどうってよ。その水汲みもぼこ(子ども)の仕事で、沸かすのもぼこんとうの仕事だっとうっちゅうよ。へえそのころはバケツはあったから、天秤棒にバケツを2こつるして運んだって話してくれたさ。ドラマのようの話じゃんね。
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