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2014年5月30日 (金)

山梨の養蚕習俗「ならびだんす」

こんにちは、まゆこです。

Dsc_02524齢1日目朝、起蚕消毒したところ。「ナラビダンスを飼育箱に供える」

 3齢5日目の朝から4齢1日目の夕方までの約36時間は、蚕が「眠」状態→脱皮するまで、給桑をしません。そのため、養蚕家は束の間の休息を得ることができます。

 山梨では、その間に繭のようにまっ白なお団子をつくって食べるという習慣がありました。そのお団子のことを「ならびだんす」といいます。山梨の言葉で「ならぶ」とは、かいこが「眠」状態のことをさし、「だんす」とは「団子」のことです。

 ただ、「ならぶ」時につくるお団子は中央市内でも様々な呼び方をしていたらしく、ただ「おだんす」といったり、「ならびだんご」ともいったようですけれど、まゆこは「ならびだんす」という心躍るネーミングを一等気に入っています♪(昨年の記事、まゆこのつぶやきカテゴリーから「おかいこさんとナラビダンス」も読んでみてね!)

H26424齢1日目夕方、桑付け

「起蚕がさっそく蚕食している!(葉の端から食べ始めましたよ)」

 さて、蚕は成長過程で4回の眠を経過して脱皮しますから、春蚕中だけでも4回も「ならびだんす」を作る機会があるのですが、だいたいは最後の4齢の「眠」の時のみにこさえることが多かったみたいです。そして、桑の葉を下に敷いた「ならびだんす」はお盆に乗せて飼育かごへ上げます。さらに神棚や仏壇にも供えて蚕の健やかな成長を祈りました。それから、その日のうちに下げて家族皆で食べたそうです。あんこ入りのおいしいお団子は、その後すぐにやってくる起蚕の猛烈な食欲に対応するための作業を前に、鋭気を養う意味合いもあったと思われます。

Dsc_0259春の桑の木には、おいしそうな「かみず(クワの実)」がたくさんついている。

 中央市の84歳の養蚕家・中込さんにお聞きしても、子供の頃、養蚕中に度々作る甘くておいしい「ならびだんす」はとても楽しみだったと話してくれました。

 養蚕の衰退とともに現在の中央市では、もうほとんど忘れられた「ならびだんす」の存在ですが、養蚕の苦労とともにあったとても素敵な女性らしい習俗なので、資料館での飼育期間中はなるべく「眠」ごとに「ならびだんす」を再現して食べよう!と画策している食いしん坊のまゆこです♪

Photo
まゆこ

 

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