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2014年5月18日 (日)

「蚕ブラシ」と豊産商事

 こんにちは、まゆこです。

最近、養蚕についての関心が高まり、中央市内外から様々な情報をわが資料館に教えてくださる方が増えており、たいへんうれしいまゆこです。

 

回転蔟の事例もそうですが、養蚕やその道具にまつわる歴史証言をしてくださる機会や人はどんどん減少していきます。地域の方々や出身者のみなさんから得られた資料を速やかに展示に反映できるようにしたいと思っています。

 今回はそんな新情報から、かつて中央市豊富地区をシルクの里と言わしめた養蚕関連産業の一つ、「蚕ブラシ」についてご紹介します。

 昭和時代、豊富地区大鳥居には、「豊産商事(ほうさんしょうじ)」という蚕具会社がありました。そこで製造していたのがこの「蚕(さん)ブラシ」と呼ばれた蚕具です。 

Dsc_0170「新しく収蔵された3点の蚕ブラシ。右端の細いブラシは格子型蔟の枠内の毛羽をとるもの」

2544_4 「昭和38年の特許庁実用新案公報に公告された図面」

 

 「蚕ブラシ」は回転蔟についた毛羽を取り除く専用のブラシです。「豊産商事」の経営者の田中菊春さんは「豊富のエジソン」といわれたほどの知恵者で、実用新案出願した蚕ブラシは、1950年代から1974年に菊春さんが亡くなるまで旧豊富村大鳥居でつくられていました。

 

 その後は生産を継いだ娘さんたちが静岡に工場を建てるなど、交代で注文をこなし、1985(昭和60年)頃まで生産販売していたということです。注文は全国の蚕具問屋からあり、特に愛知県名古屋市中村区則武にあった「側島」という蚕具問屋からは毎年大量に注文を受けていたということでした。

 Dsc_0172 「針金の先端がくの字に屈曲している」

 針金が植毛されたゴムは別の会社につくらせていましたが、この針の先端を前方に微妙に曲げてあるのが重要で、手で毛羽をむしり取るよりも能率はずいぶん上がったそうです。その後、電動ゴムベルトで毛羽取りする機械が買えるようになるまでは、養蚕家はこのブラシで回転蔟についた毛羽を掃除していたのです。

 これまで当館にはブラシの針部分がつぶれた資料1点を収蔵し展示していましたが、このブラシが昭和時代の豊富地区で製造販売されたものだということは分かっていませんでした。

 この事実は「蚕ブラシ」を製造していた田中菊春さんのご長女から教えていただいたのですが、そのご長女は現在、齋藤さんとおっしゃり、なんと回転蔟を大正時代に発明した齋藤直恵さんのお孫さんに嫁がれた方だったのです。

 回転蔟についての調査を行う過程で、このような中央市の先人に深くかかわる人物や事象に出会えたということに、不思議な縁を感じずにはいられません。そして齋藤さんのご親族のお力もお借りして、新たに3点の蚕ブラシを収蔵するに至りました。

 

Dscn0263 「大鳥居にあった豊産商事の前で。出荷のため積み上げられた箱と田中菊春さん」

 同じ豊富村木原の「渡辺回転蔟製作所」と同じ通りの並びに存在していた「豊産商事」。

 養蚕の村であった中央市豊富地区のシルクストーリーがまた一つ明らかになりました。先日富子さんが似たようなことを言っていましたが、地域のみなさんの寄せてくださる証言や実物資料によって、資料館がどんどんパワーUPするのを実感します。感謝です♪

Photo

まゆこ

 

 

 

 

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