小麦の話(9)
富子だけんど、何をするにもいいあんべえの季節になったじゃんね。
小麦の話は終わらっかと思っていたら、穂が出てきたから、みんなんに見せてやりてえと思って、また書いてみとうさ。
緑色の葉っぱのかげから顔をのぞかせている穂が、生まれたてのぼこのようでなんだかむしょうにいい気分になれるよね。雪の下に埋もれていとうときはどうなるこんかと思ってとうけんど、植物の生命力っちゅうはすごいもんじゃんね。
麦秋をむけえるのも、もうちっとだね。どうやって麦扱きをしっかと思ってたら、すごいもんをもらっちゃとうさ。『麦打ち台』っちゅうもんだけんどね。「麦打ち棚」とか、「麦叩き台」とか、「麦叩き棚」とも呼ばれるらしいけんど、足踏み脱穀機を知ってる私でもさすがに麦打ち台のことは知らなかったからね。どんなもんだか貰ってみるまでいっさらわからなかったさ。もらってみたら、脚がついた木の枠に割った竹をすのこ状に張ってあってね。麦の束を持って、そりょう竹の部分に叩きつけて脱穀をするだけんど、茎が強くて粒が落ちやすい小麦の脱穀にゃあ便利だったらしいさね。
もらった麦打ち台は、横幅が120cmで、奥行きが58cm、高さが60cmの普通の大きさだけんど、割った竹を2枚向い合せて7組張ってあって、枠はまん中がちっと甲高につくってあるだよね。寄付してくれた岸本さんは、大工さんに作ってもらって、昭和30年ころまで使ってたって話してくれとうさ。
小麦を刈ったら、この麦打ち台で麦扱きをしてみたいもんじゃんね。
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