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2014年1月22日 (水)

寒い日は「懐炉」のことを調べよう!

こんにちは、まゆこです。 寒い日が続きますね。

 Dsc_5839 資料館玄関脇にある水がめも厚く氷が張ったまま一日中解けませんよ、氷の下で金魚がゆっくり泳いでいる姿が見えて、カワイイですけどね♪ あ~、でも今日も寒い、さむい!

  こんなに寒いとあたたまるものの話がしたくなります。先日の「湯たんぽ」に続き、今日は主に携帯用の暖房具についてご紹介しましょうか。

 私たちは現在、使い捨てのカイロをよく使いますよね。ビニールの封を切って、中身を取り出せば、すぐに紙製のカイロが温かくなり、しかも用途に合わせて様々な種類(貼るタイプ、足の裏に貼るタイプ、ミニタイプ等)もあって、とても便利です。

 ところで、その使い捨てカイロの中身って一体何なのでしょうか? カイロ工業会のホームページによると、カイロの紙袋の中には、「鉄粉、水・塩類、活性炭、保水剤(観葉植物の保水土であるバーミキュライト)」が入っており、鉄が空気中の酸素と反応して酸化鉄になる(錆びる)化学反応時に出る熱を利用しているのだそうです。鉄粉以外の材料は鉄の錆びる速度を早めるために入っているそうです。

 なんでも、朝鮮戦争でアメリカ兵が使用していた、水筒のような容器に鉄粉と食塩をいれて利用していたものを、日本人が工夫して使い捨て携帯カイロを生み出したようです。現在では「カイロ」とカタカナ書きすることが多いですが、漢字ですと「懐炉」と書きます。

 懐炉の発祥はもともと江戸時代に温めた石を懐に入れた「温石(おんじゃく)」からはじまったといわれています。明治時代には「灰式懐炉(はいしきかいろ)」(炭粉を紙袋に詰めたり、練って容器の中で燃やす)、大正時代には「ベンジン懐炉・白金懐炉(はっきんかいろ)」(ベンジンの気化ガスと白金の触媒作用を使って燃焼)、昭和に入り1970年代になると、現在の「使い捨てカイロ」が次々と発売されていきました。

 まゆこは「使い捨てカイロ」しか使ったことのない世代です。白い息の出る寒い朝の通学には、ポケットに必ず入れる必需品でした。しかし、これ以前の「灰式懐炉」などは使ったことはおろか見たこともなかったので、この機会に当館収蔵品の灰式懐炉をよ~く見てみようと思います♪

 まず、

 Dsc_5788 当館常設展示室内の懐炉コーナー

 左から懐炉灰、小判型灰式懐炉、内部に不燃繊維を施したコンパクトケース型で練って固めた灰を中で燃焼させる懐炉、大型の「灰式寝炉」が展示してありますが、正直言って、「灰式懐炉」にもこれだけの種類があったなんて、びっくりします。

 

Dsc_5881 灰式懐炉の燃料である「懐炉灰(かいろばい)」

 一回に使用する分量の灰が、紙にくるまれた一本の筒になっています。

Dsc_5826 「小判型灰式懐炉」

 灰式懐炉とは、 木炭の粉末にナスの茎、麻殻、桐灰を混合して紙筒に詰めた燃料を金属容器内で燃焼させるものです。燃料となる炭の粉末はキャンディのように紙にくるまれて片側の口がキュッとねじって止めてあります。そのねじった紙の先に火をつけて金属製のケースにしまって使用するようです。

Dsc_5882 Dsc_5791 「灰式寝炉」130㎝×230㎝

 これは灰式懐炉と同じ時期に使用された暖房器具ですが、就寝時に布団の足元に置いて暖をとるのに使用したため懐炉ではなく、「寝炉(しんろ)」という名称がついています。携帯懐炉の4倍ほどの大きさなので、燃料の棒状紙筒も大型のものが使われました。また、燃料を置く場所の構造が特徴的で、就寝時に蹴飛ばして、本体が横向きや裏返しになっても燃料が常に上に向くように工夫されています。

 Dsc_5827 Dsc_5829 「コンパクトケース型灰式懐炉」

 こちらはちょっお洒落な「コンパクトケース型灰式懐炉」です。内部に不燃繊維を施し、その上に紙筒タイプではなく、スティック状の練り固めた灰を置いて燃焼しました。

 以上、今では使われなくなってしまった「灰式懐炉」ですが、明治時代から、先人は炭でできた燃料とそれを収めるケースに工夫を凝らし、出かける時も暖をとれるように、いろいろと試行錯誤してきたのですね♪

  熱い夏の盛りには考えたくないような「懐炉」のこと。寒いこの時期に是非、その歴史や仕組みを見にいらしてください。事務室にお声を掛けていただければ、まゆこがいつでもご案内しますよ! 

Photo まゆこ

 

 

 

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