小麦(3)
小麦の話だけんど、今日はちっと大麦の話をするじゃんね。
オオムギは日本にゃあ弥生時代の3世紀ころに、中国を伝わって来たっちゅうよ。ほうして、奈良時代にゃあ、へえ広く作られただって。粉する手間がかかるコムギに比べろば、オオムギは粒のまんまで食えるから手間がかからんじゃん。その上、コムギよりも熟すのが早いから、米の裏作にもちょうどよかっとうっていうこんだよね。毎日白い米の飯ばっか食うほど米ん採れんから、その増やしにもなるって、コムギよりか大事にされて、作る面積も広かったとうだよね。明治時代にゃあ、小麦の3倍も広く作ってたらしいよ。米がたいへん採れるようになってからは、使い道が多い小麦にとってかわられたっていうこんだね。
日本じゃあ種子(実)を炒って煎じたもんを麦茶にしたり、麹を生やして醤油・味噌も作ったりしてるねえ。麦焼酎もあるし、炒ったオオムギを挽いたはったい粉(麦こがし)は砂糖や湯と合わせて練って、菓子として食えばうまいだよね。
お麦(おばく)っちゅって丸麦を一晩水に浸けてっから、小豆なんかを入れてとろとろと煮る料理もあるだよ。囲炉裏の炭火で煮ると、畑に行っている間に出来上がっていて、ネギを入れた味噌をつけて食う。これがものすごくうまいって、近所のおじいさんが言ってとうけん、うちじゃあ食ったことはなかったなあ。
その代わりと言っちゃあおかしいけんど、麦こがしはよく食ったね。甘いし香ばしいし、らくがんみたいだけんど、練り足らんで粉みたいに残ったところが、きな粉を食うようでまたうまかった。麦茶も夏になると、よくほうろくで炒っていたもんさ。炒るとだんだん香ばしいにおいがしてきて、少しはぜて中の白い実が見えるようになってくるとできあがりだね。そのころは、麦茶にも砂糖を入れて飲むのが普通だったね。今じゃ甘い麦茶なんて考えられんと思うけんどね。
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