養蚕のまつり
初めまして、富子というもんです。資料館の2階で毎日蚕を飼ってるさね。だまって仕事ばっかしているから、私にもしゃべらせてほしくて出てきたさ。たまにゃあ私の話も聞いておくんなって。
資料館の近くの水上っちゅうところに、御崎神社があるだよね。御崎神社はお稲荷さんだから、五穀豊穣の神様だよね。ほんだから、社にゃあ狛犬じゃあなくて、お狐さんが置かれて社を守っているってわけさ。
御崎神社のお祭りは9月3日で、『世のうつり 第2号』に山口と志さんが書いてるように、昔は盛大にやってとうだよ。
「2日が宵祭りで、沿道には提灯が灯され、狭い道いっぱいに出店も並んで、子どもの喜こぶおでん、自慢焼き、梨、葡萄、ヨーヨーなどが並べられ、カーバイトを燃やした明かりに照らし出された品々には、子どもたちだけでなく、大人も祭り気分をそそられ、購買心が浮き立つようでした。
養蚕家の人たちはてんでにお重に煮おこわを詰めて神前にお供えし、よく繭がとれるように心を込めて祈ります。その供えられたお赤飯は参拝者の手のひらに、おぶっくといって分けられ、ありがたくいただきます。」(一部のみ抜粋)
養蚕が盛んだった豊富じゃあ、御崎神社も養蚕の神様として拝まれてたさ。お祭りじゃあ映画をしたり、相撲もしたりして、甲府や市川からも力自慢が来とうさね。ほんだけんど、だんだん催しもなくなって、20年くらい前にゃあかろうじて残ってとう子どもの相撲も今じゃあなくなっちゃったね。
御崎神社のあるとこは、実は「おみさきさん古墳」ていう古墳だってよ。学者は円墳だといってるけんど、大きさや、中がどうなっているかとか、いつごろのものかっていうことは、調べてなくてわからんらしいよ。こんな奥の方にどうして古墳があるずらかと思うほど丘陵が山にくっついたところにあるだよね。ほんだけんど一回きてみてごらんなって。甲府盆地がきれいに見えるから。ここに埋めてもらいたいと思ったのもわかる気がするよ。
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